● 講義終了後の雑談 〜家計を助けるお金の知恵〜 

第8話 住宅ローンのアイデア商品






金融の世界も随分、規制緩和が進みました。

銀行窓口で保険の販売ができるようになったり、郵便局でも投資信託を取り扱うようになったりと、金融分野の競争は、ますます激しくなりそうです。

これに伴って、金融分野のアイデア商品も増えています。

古くは、城南信用金庫が、「懸賞金付き定期預金」というアイデア商品を出して、当時、金融分野では画期的と人気を集めたのを、私は記憶しています。

今にしてみれば、このアイデアも遠い昔の話という感じがしてしまうのは、私だけでしょうか。

ところで、住宅ローンにもアイデア商品があります。

今日お話したいのは、東京スター銀行の「預金連動型住宅ローン」です。新聞広告等でもお馴染みなので、ご存知の方も多いと思います。

この理屈は、簡単な家計バランスシートを作ってみると分かり易いです。

資産 負債

 普通預金

 建物

 土地

    500万円

    500万円

   2500万円

 借入金




   2100万円



 純資産    1400万円
   合  計    3500万円    合  計    3500万円


例えば、家計バランスシートが上図のようになっているとします。

普通預金の利息は、0.001%でほぼゼロ金利とし、東京スター銀行の住宅ローン・5年間固定3.150%を利用、普通預金の残高500万円は5年間一定、という前提で考えます。

預金連動型住宅ローンのアイデアは、上の図の借入金2100万円のうち、普通預金の残高と同額の500万円には、利息が掛からないというものです。

従って、残り1600万円の部分に利息が掛かっていくことになります。

仮に、預金連動がない住宅ローンであれば、借入金500万円の部分にも利息が掛かることになります。

つまり、仮に金利条件が同じで預金連動がない住宅ローンであれば、預金連動型の場合と比べて、5年間で、500万円×3.150%×5年=78.75万円の利息を余計に支払うことになります。

ウラを返すと、預金連動型であれば、預金連動がない場合と比べて、500万円の普通預金に対して、5年間で、78.75万円の利息を受け取るのと同じ効果が生まれる訳です。

一方で、東京スター銀行の側も、これだけのメリットを提供しても、もともと他行に預けられていたゼロ金利の普通預金を自行に預け換えてもらえるので、財務的には問題ないという訳です。

このアイデアは、おそらく企業会計の分野を熟知した人が考えたものだと思うのですが、個人的には、すごいアイデアだと思います。

ただし、実際に、この住宅ローンを利用すべきかどうかは、ご自身のライフプランや金利、諸費用等を絡めて総合的に判断する必要がありそうです。







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